【NBA】クリス・ポール加入でクリッパーズがブレイクの予感 (2ページ目)

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi 青木 崇●構成 text by Aoki Takashi
  • TOBI●撮影 photo by TOBI photo by Getty Images

「レイカーズの新HCマイク・ブラウンはキャブス監督時代からオフェンスが単発」と佐古氏は語る「レイカーズの新HCマイク・ブラウンはキャブス監督時代からオフェンスが単発」と佐古氏は語る

 一方、フィル・ジャクソンが引退し、ヘッドコーチ(HC)が変わったロサンゼルス・レイカーズ(13勝9敗)は、チーム全体が機能するまで時間がかかるのではないでしょうか。マイク・ブラウンHCはディフェンスをテコ入れしたので、それは形になりつつあると思います。しかしオフェンスになると、単発になってしまう感じは否めません。コービー・ブライアントが何試合も続けて30~40点以上を取らないと勝てないオフェンスは、本当の強さとは言えないでしょう。

 ただ、1月25日のロサンゼルス・クリッパーズ戦では、オフェンスを修正し、インサイド型のゲーム展開をしていました。こういうゲーム展開に持っていくことが、レイカーズが優勝するためには一番大事なことだと思います。せっかく強力なツインタワー(アンドリュー・バイナム&パウ・ガソル)を持っているので、それを生かさない手はありません。今のレイカーズは1試合で100点取れない一方で、ディフェンスは90点以上取られています。早くオフェンスで100点以上取れるシステムと流れを構築しなければならないでしょう。

 そんなウェスト(ウェスタン・カンファレンス)で今シーズンのイチ押しは、ロサンゼルスのもうひとつのチーム、クリッパーズ(12勝6敗)です。僕はニューオリンズ・ホーネッツから移籍してきたクリス・ポールをすごく気に入っていて、昨年も強豪レイカーズ相手に孤軍奮闘していました。

※数字は昨季レギュラーシーズンの順位。星印は昨季プレイオフ進出チーム。矢印は佐古賢一氏が分析した昨年の戦力との比較※数字は昨季レギュラーシーズンの順位。星印は昨季プレイオフ進出チーム。矢印は佐古賢一氏が分析した昨年の戦力との比較

 ポールは空気の読めるプレイヤーだと思います。周りの選手と相手の出方を観察しながらゲームを進めていける選手で、自分がやらなくてはいけない時間帯、アシストでゲームを展開させていく時間帯が、自分の中ではっきりしています。NBAでも数少ない、非常にクレバーなプレイヤーですね。そんなポールが、ブレイク・グリフィンら若くて勢いのあるプレイヤーに試合の手綱を握らせているところに、僕は一番伸びしろがあるのではないかと思うのです。

 僕もポールと同じポジションだったのでよく分かるのですが、ポイントガードはチームメイトに自由に手綱を握らせ、自分好みのプレイをさせていくという面白みのあるポジションなんです。一方、プレイオフで勝たなければならない状況になると、今度はポイントガード自らが手綱を握り、チームを動かさなければなりません。1点を争う大事な場面で、手綱を握ってブレーキをかけるのか、それとも手を放して周囲を生かすのか。そんなメリハリが、切羽詰った試合ではすごく大事になります。僕はクリス・ポールの試合運びを見て、クリッパーズは今シーズン優勝してもおかしくないチームだと期待しています。

※勝敗の数字は2月1日現在

取材協力:WOWOW
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プロフィール

  • 佐古賢一

    佐古賢一 (さこ・けんいち)

    1970年7月17日生まれ、神奈川県出身。179cm/ポイントガード。北陸高→中央大→いすゞ自動車→アイシン精機。日本を代表する司令塔として活躍し、『ミスターバスケットボール』と呼ばれる。的確な判断力と要所の得点力で、JBLリーグ優勝9回、全日本選手権優勝12回を果たす。2011年に現役引退。
    WOWOW(http://www.wowow.co.jp/sports/nba/)でNBA解説など活躍の場を広げている。現在はJBA理事ナショナル男子を担当。近況はコチラ

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