スーパーラグビー参戦。山田章仁が叶えた「10年越しの夢」

  • 向風見也●文 photo by Mukai Fumiya
  • photo by YUTAKA/AFLO

 ラグビー日本代表の花形選手のひとりである山田章仁。この冬は、パナソニック・ワイルドナイツのウイングとして活躍し、トップリーグのプレイオフで自身3度目のMVPを獲得。その後、オーストラリアに渡り、スーパーラグビー()に参加しているウェスタン・フォースの一員としてプレイしている。29歳にしてようやくたどり着いた最高峰の舞台。山田にとっては"10年越しの夢"が叶った瞬間だった。
※南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアの3カ国、計15のクラブチームによるラグビーの世界最高峰リーグ。毎年2月から7月まで行なわれている

念願のスーパーラグビー参戦を果たした山田章仁念願のスーパーラグビー参戦を果たした山田章仁

 山田がプロの選手として海外に憧れを抱いたのは今から約9年前、オーストラリアに留学した時だった。山田は慶応大2年の春から夏にかけ、シドニーにあるイースタンサバーブスというクラブに在籍。得意の走りで仲間たちの信頼を集め、充実した日を送っていた。だがある日、チームメイトの何気ないひと言が、山田に強烈なプロへの思いを植え付けた。

「アキ(山田章仁)、留学の費用はどうしているんだ?」

 チームメイトにはアルバイトをしながらグラウンドに通うハングリーな選手もいた。それだけに「親に払ってもらっている......」となかなか言い出せなかった。

「正直、恥ずかしかった。いつまでも甘えていられない。プロの選手として世界で戦いたいと思うようになったのは、その時からです」

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