【F1】角田裕毅にもローソン接触の責任はある 「抜き返してこない」という思い込みが不用意な幅寄せにつながった (2ページ目)
【ローソンの動きがミラーの死角に?】
それと同時に、角田の動きも不用意だった。
ローソンのマシンが右側に並びかけているにもかかわらず、右側にラインを寄せて1台分のスペースを残さなかった。タイヤ同士が接触する以前に、ローソンの左フロントタイヤが角田の右リアタイヤの前に重なってフロアをヒットしていたことからも、十分なスペースが残されていなかったことは明らかだ。
ローソンの動きがミラーの死角に入っていた可能性もあるが、トウのなかで追いついてくるローソン車を見て、予測しておかなければならなかった。「抜き返してこない」という思い込みから、不用意な幅寄せにつながってしまったのだろう。
なお、2周目のターン4で同じようにランス・ストロール(アストンマーティン)を押し出したエステバン・オコン(ハース)には、5秒加算ペナルティが科された。オコンほど厳しい幅寄せではなかったというスチュワード判断なのか、ターン5をカットしてローソンが前に出たためか、この件が審議対象にはならず角田にペナルティが科されなかったのは幸いだった。
不用意な走りをしたという意味では、ローソンも角田も同じで、どちらにも接触の責任があったと言うべきだろう。
いずれにしても、実質的に角田がこれでレースを失ってしまったのは事実だ。
「接触でマシンにかなりダメージを負ってしまい、ペースを失ったことで、僕のレースは台無しにされてしまいました。特にダメージを受けた側(右側)はすごくグリップ感がない状態で、全体的にかなり難しくなっていました」
ボルトレートやフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)の後方で入賞圏を争っていた角田だが、18周目にはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG)に抜かれ、ピットストップではベアマンにアンダーカットを許し、実質11位までポジションを落としていた。
それだけに、前に見えるボルトレートとベアマンがローソンを抜いて、どんどん離れていく状況に焦りがあったのかもしれない。
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