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「現代のF1ではセナ・プロのような戦いにはならない」中野信治が展望するチームのイメージ最優先の王者争い (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【現代F1で優先されるチームのイメージ】

 5〜10年ほど前からF1でのチーム作りの考え方と、チーム代表の役割が大きく変わってきていると私は感じていました。それこそウイリアムズの創設者で2020年まで40年以上にわたってチーム代表を務めたフランク・ウイリアムズさんや、1981年から2017年までマクラーレンを率いたロン・デニスさんが活躍していた時代と現代では役割がまったく違います。

 F1チームは昔も今も勝つこと、チャンピオンになることを目指して代表のもとで運営されていますが、同時にチームの企業価値を向上させていくことが非常に重要になってきているのです。

 シーズンが進むにつれてピアストリとノリスのチャンピオン争いは激しさを増していくと思いますが、どこまでふたりを競わせるのか。チームのイメージが向上するのかしないのかというのを見ながら、その線引きをするのがマクラーレンのチーム代表を務めるザック・ブラウンさんの役目だと思います。

チャンピオン争いを演じるランド・ノリス(左)とオスカー・ピアストリ(右) photo by Sakurai Atsuoチャンピオン争いを演じるランド・ノリス(左)とオスカー・ピアストリ(右) photo by Sakurai Atsuoこの記事に関連する写真を見る

 マクラーレンの無線を聞いていると、チーム代表であるブラウンさんからこういうふうに戦ってほしいという指示がノリスとピアストリの担当エンジニアにしっかりと伝わっているように感じます。時々、ゴタゴタしているように見えることもありますが、今シーズンのマクラーレンは統率の取れた戦いをしています。

 おそらく今シーズンのマクラーレンのなかでは、ドライバーふたりが必要以上に争うことは、ライバルに隙を作ることになるし、チーム力も落ちていく。そういう状況はお互いのドライバーにとってもよくないので、プロフェッショナルとして無駄な争いをすることなく、着実にポイントを重ねながらチャンピオンを目指して戦っていく。

 そして、シーズンが進み、ドライバーの間に明確なポイント差が生じた場合は、ランキング上位のドライバーを優先して、タイトルを獲らせるためにチーム一丸となって戦っていこう......。そんな話ができているのではないかと私は推察しています。

 もちろん、このままマクラーレンのふたりがライバルに対して圧倒的なポイント差を築き、他のドライバーがチャンピオン争いにからまないのであれば、ふたりを戦わせることもあるかもしれません。

 でもチーム代表の指示のもと、コントロールされたなかで戦うことになるはずです。セナプロのようなマシンをわざとぶつけに行くとか、チームのイメージが下がるような争いにはならないでしょう。

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