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【F1】角田裕毅はフェルスタッペンと0.163秒差でも笑顔なし レーシングブルズも抜けない前代未聞の大不振 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【2018年のリカルド以来の僅差】

「チーム内で顔を見合わせて『何が起きているんだ?』という空気だった。すべての低速コーナー、中速コーナーのボトムスピードがとにかく遅かったんだ。マシンバランスの問題というよりも、もっと根本的な何かがおかしかった。マシンを適切な作動ウィンドウに入れることができず、タイヤを全然スイッチオンできなかった」

 ローラン・メキース代表がこう語るように、チームとしてはあらゆる手立てを講じたものの、ハンガロリンクでタイヤのグリップを引き出すことはできなかった。

 1週間前のスパ・フランコルシャン(ベルギーGP)のスプリントで優勝したことからもわかるように、レッドブルが急に遅くなったのではない。スパのようなサーキットではトップ争いができるが、ハンガロリンクのようなサーキットでは苦戦を強いられ、さらにタイヤを使いこなせなければ中団に飲み込まれてしまうということだ。

 角田にとって不運だったのは、ようやくフェルスタッペンとまったく同じ仕様のマシンで戦うことになり、0.163秒差まで迫ることができたのが、チーム自体が不振にあえぐそんなグランプリ週末だったということだった。

 しかし、フェルスタッペンもQ1、Q2ともに0.15秒程度の僅差でからくも通過するほどで、0.163秒差というのは正真正銘の実力差だ。過去のチームメイトでフェルスタッペンにここまで肉薄できたのは、2018年までのダニエル・リカルドだけだった。

◆つづく>>

著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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