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鈴鹿8耐スズキ「カーボンニュートラル」の挑戦 サステナブル燃料で8位の好結果、レース文化の火は消えない (2ページ目)

  • 西村 章●取材・文 text by Nishimura Akira

【今いる場所は歴史の新たなスタート地点】

 鈴鹿8耐は、金曜の計時予選で上位10番以内に入ったチームが土曜のタイムアタックセッション〈トップテントライアル〉に進出する。Team SUZUKI CN CHALLENGEは16番手タイムだったため、このセッションの進出を逃した。

 決勝は16番グリッドからのスタートとなったことについて、土曜午後に佐原に訊ねると、「これは目標ではなく、あくまで個人的な予想ですが、いいレースペースを保てば我々のポテンシャルならトップ10は狙えるんじゃないかと思っています。チームもライダーも、それだけの力をすでに持っていますから」。

ライダー交替時にサステナブル燃料を補給 photo by Takeuchi Hidenobuライダー交替時にサステナブル燃料を補給 photo by Takeuchi Hidenobuこの記事に関連する写真を見る そんな期待を述べていたが、日曜午前11時30分にスタートした決勝レースでは、長く厳しい8時間を走り終えるとその予想よりもふたつ上のポジション、8位でチェッカーフラッグを受けた。思ってもいないトラブルや予想外のアクシデントが発生するのは8耐の常だが、サステナブルな素材を投入して挑んだ彼らは、上位陣と遜色ない戦闘力や安定した性能を発揮することを実戦で証明した。

 レース終了直後のピットボックスを訪れると、佐原は安堵した様子で表情をほころばせた。

「これくらいはいけるかなと思っていましたが、実際に走り始めてみると合わせ込まなければならないところがいくつもあって、ライダーたちは走りながらサステナブルなアイテムの特性に合わせてくれたので、彼らのすごさにあらためて感心しました。ライダーとチームが全力を出して、『我々は完走を果たしました』と胸を張ることができる結果を獲得してくれたことを、まずなにより讃えたいと思います」

 佐原は、自分たちが今いる場所はこれから長く続いてゆくであろう歴史の新たなスタート地点で、ゴールはまだはるか先にある、とも言う。

「何かしらやっていないと、道はつながらない。だから、まずはこうやって始めたことに意義があったのだと思います。プロジェクトを立ち上げた段階ですでに、1年限りではなく2年3年、さらにもっと長く続けていくことを視野に入れていました。

 たとえばサステナブル燃料だって今はまだ40%(バイオ由来)だから、そこはやはり100%を目指さなければいけない。その意味でも、このカーボンニュートラルチャレンジはまだ始まったばかり、という認識です。今日の決勝レースにはスズキの経営トップもレース現場へ見に来たので、8位という結果は、来年以降もこの取り組みを続けていかなればならないというアピールにもなったと思います」

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