F1角田裕毅「不得意なコースはないんで大丈夫」 まだ入賞がないマイアミGP、3度目の正直なるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ホンダが貢献しているのはパワーだけじゃない】

 レッドブルとRBにパワーユニットを供給するホンダ(HRC)の今季型は、従来よりも作動温度領域を高くしており、高温にも耐えられる。それはつまり、車体側に求める冷却容量が少ないということであり、こうした暑いコンディションでもマシンに大きな吸気口・排熱口を開けなくてもいいということになる。

 大きな穴を開ければ開けるほど空力性能は失われ、なおかつドラッグ(空気抵抗)になる。だが、ホンダのパワーユニットを搭載する2チームは、その点で大きな優位性を持っていると見られている。

 ホンダの現場運営を統括する折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネジャーは、次のように語る。

「今年はこれまでけっこう涼しいイベントが続いていたんですが、気温は29〜30度くらいで今シーズンで一番高いですし、湿度も高めです。今年初めてクーリング的に厳しいレースになるかなと思いますし、今年に向けてやってきたことがここで問われると思っています」

 ホンダのパワーユニットが、パワーではなく空力に貢献する。その貢献はなかなか見えづらく、ともすれば"車体性能"と捉えられかねないが、ホンダとしては開発凍結下においてもチームと一体となってマシンパッケージ全体のパフォーマンスを少しでも向上させるべく、やれることをすべてやりきっている証でもある。

「なかなか外からは見えづらいところに効果が出てくるんですけど(苦笑)、たとえばクルマのルーバーの開いている数やボディカウルの開き具合が他チームより少なかったりすると、『ホンダが貢献している』と見ていただければいいかなと思います」

 前戦の中国GPではリアのグリップ不足に苦しみ低迷してしまった角田だが、チームとともにマシンの徹底的な調査を行ない、おおよその原因は推測できる状態になったという。

 原因は何かひとつ大きな問題があったわけではなく、セットアップ面やドライビング面、アプローチの仕方などさまざまな要素が絡み合った結果、陥ってしまった状況だったようだ。

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