角田裕毅が2023年を振り返る「全レースで全集中。ここまですべてを捧げたことはなかった」 (2ページ目)
でも、その後はライバルのマシン開発が進んだことで、自分たちのクルマのパフォーマンスが厳しくなってきて。そこがきつくて僕もオーバープッシュしてしまい、少しミスを犯す場面もありました」
── そこから挽回できたきっかけは?
「まずは、クルマがよくなってきたことが大きかったですね。あとは夏休みで完全にリセットして、すごくリチャージできたこと。自分のなかでナチュラルに前半戦を振り返ってみて『あそこでもう少し行けたかな』みたいに、改善すべきポイントを見直してみたりして。
それ以降のレースでは改めて悔いがないように、自分のパフォーマンスを最大限に引き出すことに集中して、だから時間が短くなったような気がしました。全レース、全集中で全神経を使ったんで。今までのレースをしてきたなかで、ここまですべてを捧げたっていうことはなかったですね」
※ ※ ※ ※ ※
誤解を恐れずに言えば、2年目までの角田にはまだ、F1ドライバーとして甘い部分があった。マシンのセットアップにしても、エンジニアやメカニックたちとのチームワークにしても、メディア対応にしても、トップドライバーたちに比べればコミットの仕方が足りていなかった。
だが、3年目の角田は違った。全レースで全神経を使い、つまり自分のすべてをレースに捧げたということだ。
だから角田自身は常に全力を出しきり、マシンの競争力さえついてくれば結果は自ずとついてくるという状況だった。
アルファタウリは昨年の「回数は少なくても大きなアップデートを投入する」という開発戦略の失敗を教訓に、2023年は「連続的な開発」という戦略で、毎戦のようにアップデートを投入した。
なかでも、フロアは第3戦オーストラリアの方向性修正のあと、第7戦モナコ、第11戦イギリス、第16戦シンガポール、第19戦アメリカGPと、4回に分けて大型アップデートを投入。マシン特性の改善とダウンフォース増大に取り組んできた。
特に大きな効果が出始めたのは「シーズン後半戦に入ってから」だと角田は回想する。
2 / 4