「ずっとこの瞬間を夢見てきた」。メルセデスAMGが生んだエリート中のエリートが涙のウイニングラン (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

来季の勢力図はいかに?

「バーレーンでは予選9位で、イモラでは僕もルイスもQ2で敗退した。シーズン序盤の頃の僕らは、アルファロメオやハースと争っていた。フェラーリが圧倒的に速くて、僕らはそこから1秒落ちだったこともあった。

 ポーポシング問題を解決するのに多大な時間を失ってしまったし、そのせいでマシン開発は大きく遅れてしまった。だけど、だからこそ(問題を解決した)シーズン後半戦からのこの8戦で、僕らは大きくパフォーマンスを向上させることができた。パフォーマンスを向上させることに集中することができた証だ」(ラッセル)

ワンツーフィニッシュを飾ったメルセデスAMGワンツーフィニッシュを飾ったメルセデスAMGこの記事に関連する写真を見る 予期せぬポーポシング対策に10カ月を要し、そのぶんだけマシン開発に後れを取った王者が、シーズン終盤戦に入り本来の開発ペースでマシン改良を進め、ここまで追いついてきた。それがこの「1勝」という結果の表わす意味だ。

 グランプリウィナーとなり、ジョージ・ラッセルは名実ともにトップドライバーに名を連ねた。そして来季はチームもさらなる躍進を遂げる。

 もちろんレッドブルも、そしてシーズン後半戦を捨てて来季に賭けるフェラーリも対抗してくる。エキサイティングな2023年シーズンの新たなチャプターがひと足早く開いたことを感じさせる、メルセデスAMGとラッセルの圧勝劇だった。

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