「5秒速くても抜けない」モナコで起きたフェラーリの誤算。一方ペレスは完璧レースで初戴冠 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

勝利を奪われたフェラーリ

 2位のサインツのほうが明らかにペースは速かった。しかし、決勝直前に激しく降った雨の影響で路面はまだわずかに濡れた箇所があり、オーバーテイクを仕掛けるのはあまりにリスクが大きかった。

「何度か仕掛ける寸前までいったよ。でも、イン側はまだ少し濡れていた。それにチェコ(ペレス)はものすごくブレーキングを遅らせていた。もし僕がもっとブレーキングを遅らせれば、僕は止まりきれずに彼もろとも道連れにしていたはずだ。僕も特にリアタイヤのグレイニングがひどくて、トンネルの立ち上がり(ポルティエ)で接近したまま立ち上がっていけなかった」(サインツ)

 その結果、トップ4台の接近バトルは動きがないままチェッカードフラッグを迎え、全車がドライタイヤに交換してからのレース後半はひとつもオーバーテイクがない、というレースになった。

 さらに言えば、フェラーリ勢はマナーの悪い周回遅れに抑え込まれたことで勝利を奪われた。

 サインツはハードタイヤに交換した直後の22周目、青旗が提示され続けているにもかかわらずターン3からターン8の出口までニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)に抑え込まれ続け、翌周ピットインしたペレスに逆転を許してしまった。サインツのラップはシャルル・ルクレールより1.5秒、マックス・フェルスタッペンより2.8秒も遅かった。

「彼の後ろでターン3、4、5、6、7、8と走らなければならなくて、ターン8を抜けてトンネルへ向かうところでようやく彼は道を譲ったんだ。でも、その時にはすでに僕はタイヤのウォームアップを失っていて、スリックタイヤに交換して得るはずのゲインを得ることができなくなってしまった。

 僕はグリッドで最も遅いクルマに引っかかって、(翌周ピットインした)チェコの前にとどまるチャンスを奪われてしまった。僕らはやるべきことをすべて正しくやったけど、アウトラップでひどい周回遅れのマシンに引っかかったことで勝利を失ったんだ」

 ポールポジションのルクレールも、20周目にアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に抑え込まれ続け、フェルスタッペンより3.3秒も遅いラップになった。

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