「撮影会後にゴキブリの世話」。昆虫の脳を研究する東大大学院生のレースクイーンReina+Worldとは何者?

  • 川原田 剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

Reina+Worldインタビュー前編

東京大学大学院の博士課程で学びながら、2021年からレースクイーンとしての活動をスタートさせたReina+World(レイナワールド)さん。ふだんは大学で博士号取得のために昆虫を研究。その合間に白衣姿で子どもたちに科学のおもしろさを教えたり、モデルや歌手の仕事をしたり、そして、週末には華やかなコスチュームに着替えサーキットでマシンやドライバーの横に立つ......。「科学と社会をつなぎたい」と語る彼女に、レースクイーンの世界に足を踏み入れた理由や、間近で見たモータースポーツの魅力を聞いた。

東京大学大学院で昆虫を研究しながらレースクイーン活動をしているReina+Worldさん東京大学大学院で昆虫を研究しながらレースクイーン活動をしているReina+Worldさんこの記事に関連する写真を見る

【研究と芸能活動の多忙な日々】

ーー現在、博士課程で研究を続けながら、音楽やレースクイーンなど活動は多岐にわたります。日常生活はかなり忙しいのでは?

レイナワールド
 周囲からは「キャラが渋滞している」、両親からは「生き急いでいる」と言われていますが、いろんなことに興味が湧いてしまうんです。でも楽しいから、ついやっちゃいますね。一応、自分では大学院での研究に軸を置いているつもりですが、それ以外にはシンガーソングライター、テレビタレント、広告や雑誌のモデル、あとは子ども向けの科学教室の先生、そして2021年からレースクイーンの活動をしています。レースクイーンの活動は今しかできませんので、のめり込んでしまいます。

ーー大学ではどんな研究をしているのですか?

レイナワールド 昆虫の脳の研究をしています。昆虫の脳のなかに賢さを決めている「キノコ体」と呼ばれる領域があります。認知行動を処理している重要な部分で、そのなかの細胞の種類と数(種類の多さ)によって賢さが決まっているのではないかという研究です。

 最初はミツバチを使っていましたが、データ収集が容易なゴキブリを使った研究も始めました。テーマは、ゴキブリの脳のある細胞領域を調べて、ゴキブリがいかに賢いのか、情報処理能力が高い可能性があるのかという研究をしています。

ーー生き物を使った研究は休めないので大変だと聞きます。

レイナワールド
 やっぱり生き物は世話をしなければなりませんのですごく大変ですね。台風のなかでも研究室へ行きましたし、今でも撮影会のあとにゴキブリの世話することもありますよ(笑)。日曜日にMotoGPのグリッドガールを務めたあと、23時にラボにたどり着いてデータをまとめ直して追加実験をして、翌朝9時から進捗報告の発表をするようなハードなスケジュールの日もあります。

ーー博士号を取得できるのはいつぐらいになる予定ですか?

レイナワールド
 あと1年くらいで取れればいいかなと思っています。本当はもっと早く取れるはずだったのですが、途中、研究室を変わらなければならなかったり、いろいろなことがあって、オーバードクター(※修業年数をオーバーしても学位が取れない状態)覚悟ですね。これから研究のデータを集めて、論文を書くという大仕事が待っています。レースクイーンなどの芸能活動をしている場合ではないかもしれないのですが(笑)。

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