レッドブル・ホンダ、余裕でワンツー体制を築いた速さ。メルセデスAMGと実力互角だ (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

「通常のサーキットに戻れば、メルセデスAMGがものすごく強力なのはわかっている。ここでギャップを広げておけなかったことは残念だけど、ルイスがターン1を真っ直ぐ行ってくれたので、チャンピオンシップのリードを守ることができてラッキーだった」

 勝利を逃したフェルスタッペンは悔しさを爆発させながらも、すでに次のレースに目を向けている。そして、選手権争いというものをはっきりと意識している。

 ホンダとしても、2.2kmという長い全開区間でMGU-H(※)からのエネルギー回生が十分に効き、メルセデスAMGと同等以上の走りとバトルを繰り広げられたことは大きな自信になった。それが今季型RA621Hの新骨格ICEと合わせて投入されたもうひとつの目玉、新型MGU-Hの効果そのものだからだ。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

「長いストレートは厳しくなるし、回生を取れるかどうかの合わせ技になるんですが、今年我々はICEのみならず、そのあたりの弱点を克服してパフォーマンス向上を果たしてきたところです」(ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター)

自己最高位7位でフィニッシュした角田裕毅自己最高位7位でフィニッシュした角田裕毅この記事に関連する写真を見る レッドブルが余裕でワンツーフィニッシュできそうだったほどの速さを見せ、アルファタウリ勢も好調でピエール・ガスリーが3位表彰台を獲得。角田裕毅も自身初のQ3進出を果たし、決勝では7位で自己最高位の入賞を果たした。

 角田はレース序盤でフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)をオーバーカットしたものの、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)とは必死に争った末にオーバーカットを許した。そのベッテルが2位でフィニッシュしているのだから、角田にもわずかな違いで上位フィニッシュの可能性があったことになる。

 レース中盤ではランド・ノリス(マクラーレン)の猛攻をしのぎ、前のシャルル・ルクレール(フェラーリ)を追いかけた。最後の2周スプリントレースでグリップ感が得られずにポジションを2つ落としたものの、レース全体としてはマシン本来の位置からスタートし、同等レベルの競争相手と真っ向勝負を繰り広げたという意味で、角田はF1デビュー6戦目にして初めてレースらしいレースをしたことになる。

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