レッドブル・ホンダ、余裕でワンツー体制を築いた速さ。メルセデスAMGと実力互角だ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 事前のデータでは十分にレースを走り切るだけの耐久性があり、同じハードタイヤでフェルスタッペン以上に長く周回を重ね、41周を走っているドライバーもいる。首位を走って最もタイヤをいたわることができたフェルスタッペンのタイヤが34周で壊れるというのは、構造上の問題とは考えにくいというのがピレリの初期分析結果だ。

 ただ、何が原因であろうと、高速走行時のタイヤトラブルは絶対に起きてはならないことだ。

 ピレリは研究室での詳細な分析によって原因をしっかりと究明し、その原因がタイヤにあるのならタイヤの改良を、過度な磨耗などチーム側のタイヤ運用に問題があるならそれを防ぐ手立てを、そしてデブリなど外的要因にあるならそれを防ぐコース運営対策をFIAが打ち出さなければならない。

 重要なのはそこであって、原因が明らかでない現段階で誰かを責め立てるべきではない。このような事故が起きてほしくないと願っているのは、誰もが同じなのだから。

 いずれにしても、フェルスタッペンが失った勝利は帰ってこない。レースは残り2周で再開となり、代わってペレスがポールポジションからわずか2周の超スプリントレースに挑むことになった。

 しかし、ペレスのマシンはレース中盤からハイドローリック系の油圧低下が起きており、最後まで走り切れるかどうかはかなり際どいところだった。そのため、レース再開に向けたエンジン始動も可能なかぎり遅らせ、パワーステアリングのアシストも最小限にすべく、マシンを左右に振ってタイヤを温めるウィービングも行なわずにスターティンググリッドにつかなければならなかった。

「チェコ(ペレスの愛称)はレース中盤からハイドロ圧を失ってきていて、とくにリスタートでは症状が悪化する懸念があった。最後まで走り切れるかどうかギリギリの状態だったんだ。だからパワーユニットを起動するのもギリギリまで遅くして、できるだけ圧力をかけないようにマシンを運用しなければならなかった」(レッドブル代表クリスチャン・ホーナー)

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