F1開幕で角田裕毅に高まる期待と漂う大物感。「プレッシャーも緊張もない」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 しかし、昨年10月にイモラで初めてF1マシンをドライブして以来、4度に渡って重ねてきたプライベートテストと3日間の開幕直前テストで、じっくりとF1というものを学んで来た。1週間半前には57周のフルレースシミュレーションを走破し、10月には嫌というほど痛感させられたフィジカル不足もしっかりと鍛え上げられていることが確認できた。

 角田は、今の自分のどこが優れていて、何がまだ足りていないのかを冷静に見ている。だからこそプレッシャーもなく、リラックスして初めてのグランプリ週末に臨んでいると角田は言う。

「フィジカル面もメンタル面も今のところまったく普通で、とくにプレッシャーも感じていないですし、緊張もないですね。4歳でカートを始めて夢見てきたF1の世界でどこまでやれるか、ワクワクしています。普通のレース週末の前と同じような気持ちでいますし、今のところはすごくリラックスしていていい感じだと思います」

 今のアルファタウリにどのくらいのポテンシャルがあるのか? 対他競争力はいかほどか?

 それによって、目標とする結果も違ってくる。走り出す前の今はまだ、具体的な目標など立てることはできない。

「どんなレースになるのか、経験がないのでまったくわかりません。とにかく可能なかぎりプッシュして、可能なかぎりポイントを獲りたいですね。とくに予想はしていないし、とにかくプッシュするだけです。楽しみなのは自分の走りだけ。自分がどこまでできるか、どこまでいけるか。自分と向き合うことを楽しみにしています」

 明るい未来に向かって走り出す角田とは対照的に、ホンダは最後の1年をスタートしようとしている。

 開幕前テストではスムーズな走行とデータ収集を重ね、ホンダとしてもこれ以上ないかたちでシーズンの開幕に臨んでいる。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「レッドブルとアルファタウリは基本的に大きなトラブルもなく周回を重ねて、2チーム4人のドライバーからいろいろなデータが習得することができました。多岐にわたるデータが得られましたので、この1週間ほどで解析し、パフォーマンスの最適化を図るべくキャリブレーション(調整)の検討を行なって、懸案事項や小さなトラブルも見直してこのレースに向けて準備してきました。HRD Sakura、MRD MK、そしてレッドブル、アルファタウリのメンバーも一丸となって戦っていきたいと思っています」

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