佐藤琢磨×鈴木亜久里、F1で夢のタッグ。オールジャパン体制にファン熱狂 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2002年型A23のモノコックなど主要部品を買い取って集め、そこにホンダの最新型エンジンを搭載するという、突貫工事をやることにした。そのなかには、ショーカーとしてメルボルン空港の屋外に展示されていたモノコックまで含まれていたほどだった。

 ただこれは、あくまでオリジナルマシンSA06が完成するまでの暫定措置。アロウズA23を2006年規定に合わせて改造した、急ごしらえのマシンはSA05と命名された。

 コンパクトなホンダV8エンジンをA23のモノコックとギアボックスにマウントするためには、(A23が搭載していたコスワースエンジンのクランクシャフト高に合わせるため)エンジンを持ち上げた状態で固定しなければならない。前後ウイングなど空力パッケージの寸法を合わせることや、サスペンションなど消耗部品を作り直すなどといった作業で、手一杯だった。

 SA05は真っ白な車体のまま、イギリスにあるファクトリーにほど近いケンブルのコッツウォルド空港でシェイクダウンが行なわれ、バルセロナ合同テストに参加し、なんとか開幕へと辿り着いた。開幕戦バーレーンGPでは、琢磨の腕をもってしてもトップから6秒落ちで、決勝は4周遅れで完走するのがやっとだった。

 しかし、4年も前のマシンを改造して参戦に漕ぎ着け、実戦テストのようにひたすら走って完走し、データ収集と学習を続けていく。暫定車とはいえSA05を改良していき、オリジナルマシンSA06の設計・製作も進めていった。

 限られた人的リソースのなか、SA06製作は難航して計画が大幅に遅れたものの、7月19日にシェイクダウンに漕ぎ着ける。そしてついに、7月28日の第12戦ドイツGPで実戦投入が果たされた。

 マシン投入を少しでも早くするため、アロウズA23のモノコックを流用し、左右両端から下に突き出た2本のキールにフロントサスペンションをマウントするツインキール方式はそのまま。しかし、リアサスペンションの刷新に合わせて、ギアボックスのケーシングを独自製作に切り替えた。

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