MotoGP「無敵の王者」マルケスの少年時代。デビュー前にいきなり骨折 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 マルケスがグランプリライダーとしてのキャリアをスタートさせたのは08年、15歳の時だ。カタルーニャ選手権やCEV(スペイン選手権、現・FIM CEV レプソル国際選手権)で実績を積み上げ、MotoGPの世界へ到達した。

 しかし、125ccクラスのデビューシーズンは開幕2戦を欠場し、第3戦ポルトガルGPでのデビューになった。序盤2レースの欠場理由は、プレシーズンテストで転倒して右腕の尺骨(しゃっこつ)と橈骨(とうこつ)を骨折したためだ。

 少々ワケありの世界デビューになったが、この年は早々に第8戦イギリスGPで3位表彰台を獲得している。その事実は、ルーキーシーズンからすでに逸材の片鱗を見せていた証だ。

 11歳の頃のマルクスを見いだして支援を続けてきた元125cc世界王者のエミリオ・アルサモラや、スペインの熱心なモータースポーツファンにしてみれば、参戦初年度の表彰台獲得は「我が意を得たり」との思いを強くしたことだろう。

 当時のマルケスは、小柄な少年で、ルールが定める選手とマシンの合計最低重量に到達するためには、21キロに及ぶウエイトをマシンやライダー自身に搭載しなければならなかった。そうした不利な条件を抱えて、他の選手たちと互角に競っていたのは確かに驚異的だ。

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