なぜ名車GT-RはスーパーGTで勝てないのか?名門・日産の誤算とは (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 そしてこの第2戦、日産勢でもうひとつ大きな収穫だったのは、今季GT500クラスにステップアップしてきた平峰一貴のパフォーマンスだろう。

 12号車のスタートスティントを任された平峰はスタート直後から果敢に攻めていき、1周目にDENSO KOBELCO SARD GR Supra(ナンバー39)を追い抜いて3番手に浮上。後ろから迫り来るライバルに攻め入る隙を与えないドライビングを披露し、レース関係者の注目を集めた。

 しかしラスト2周となった時、佐々木大樹にドライバー交代していた12号車はGT300クラスのマシンと接触。これが危険行為と見なされて、40秒の加算ペナルティで11位に沈んだ。最終的に日産勢の最上位は3号車の8位。またしてもGT-Rは勝つことができなかった。

 開幕前テストでのトラブル続出を皮切りに、今季の日産はなかなか歯車が噛み合っていない。日産勢最上位の3号車も予選でミスを犯し、12位からのスタートを余儀なくされた。

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 今季のGT500クラスは新しい車両規定となった影響もあり、前方のグリッドからスタートするマシンのほうが有利にレースを進められている傾向にある。日産勢が巻き返すためには、まずは予選一発の速さを改善したいところだろう。

 さらに、今年は新型コロナウイルスの影響でスケジュールが大幅に変更され、日産勢が得意としていた"長距離レース"がなくなった。レース展開全体がスプリント化している部分もあり、それも日産勢にとって誤算となっているかもしれない。

 ただ、開幕2戦は直線スピードが求められる富士スピードウェイだったが、第3戦は比較的コーナーでの速さが求められる鈴鹿サーキットが舞台である。サーキットの特性がガラリと違うため、次の鈴鹿で大きく流れが変わるのではないかという意見も多数出ている。

 前回GT-RがスーパーGTを制したのは、2019年9月に開催された第7戦SUGO。今年はコロナによるスケジュール変更で、スポーツランドSUGOでのレースはない。

 果たして、日産勢がトップを走る日はいつか。第2戦で見せた復活の兆しをきっかけに、鈴鹿では後れを取り戻す走りに期待したい。

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