2020.07.09

超一流の走りを簡単に実行するストーナー。病と闘い、憧れのチームへ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

MotoGP最速ライダーの軌跡(3)
ケーシー・ストーナー 中

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。 3人目は、ケーシー・ストーナー。類まれな才能で圧巻のレースを繰り広げたその歩みをたどる。

 2007年の開幕戦カタールGPで、ケーシー・ストーナーは最高峰クラス初勝利を挙げた。

ケーシー・ストーナーは2007年にmotoGP初勝利をあげた MotoGP昇格1年目の06年は、ホンダサテライトチームから参戦し、一度だけ2位を獲得。だが、それ以外の16戦は表彰台に届かず、年間ランキング8位でシーズンを終えていた。

「ファクトリーマシンに乗れば絶対に負けない。彼らと同じタイヤを使うことができれば、転倒もしないし、トップ争いができる」

 ストーナーは、常々そう漏らしていた。サテライトチームゆえ、マシンスペックやタイヤ性能などでファクトリー勢よりも一段劣る環境に甘んじざるを得なかったのは、たしかに事実である。とはいえ、彼の言葉は己の能力を棚に上げた鼻っ柱が強い負け惜しみと受け取られるのが常だった。