バレンティーノ・ロッシは熱狂を生む。デビュー時から「もっていた」 (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 私事になるが、ロッシに初めて長時間のインタビューをしたのが、たしかこのシーズンだったように記憶している。さまざまな質問をしていくなかで趣味や嗜好などにも話題がおよび、好きな色は黄色だというロッシに、では嫌いな色は、と話の流れで重ねて訊くと、赤、と即答して妙にすました表情で口を閉じた。おそらく言外にビアッジを示唆したのだろう、と理解した。

 このシーズン、ロッシは16戦中11勝を挙げ、2ストローク500ccクラス最終年の世界チャンピオンという栄誉を手中に収めた。翌年から、二輪ロードレース世界選手権は、4ストローク990ccのMotoGP時代を迎える。時代の節目を跨いでロッシの破竹の快進撃はなおも続き、彼のカリスマとスター性はさらにもうひとつ上のステージへと昇華されてゆく。
(つづく)
【profile】バレンティーノ・ロッシ Valentino Rossi
1979年2月16日生まれ、イタリア・ウルビーノ出身。MotoGPにおける現役最年長ライダーで、現在ヤマハ所属。グランプリライダーの父グラジアーノの影響で、幼少期からレース経験を積む。96年に125ccクラスデビューを果たし、翌年、世界タイトルを初獲得。250ccクラス王座を経て、当時最高峰クラスの2ストローク500ccを2001年に制覇。02年から始まったMotoGPでは4年連続を含む計7回タイトル獲得。

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