中野信治が語る日本人F1ドライバー育成。絶対に必要な資質とは? (5ページ目)

  • 川原田剛●取材・構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 中野は自分自身、さまざまな苦労を重ねながら世界の舞台で戦ってきた。そこで培った経験を若いドライバーたちに伝えることが自分の使命だと考えている。「我々の世代が責任を持って、これから若い才能を育てていかなければならない」と中野は決意している。

「僕が若いころは、どうやって世界に行けばいいのか、まったくわかりませんでしたし、誰にも教えられていませんでした。それで損をしたり、無駄な時間を過ごしたり......そんなことがたくさんありました。

 でも、いまの若い子たちにはそんな経験をさせたくありません。F1ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンやフェラーリのシャルル・ルクレールのような20歳前後で、トップで活躍している世代が登場しています。レース界だけではありませんが、スポーツ界ではどんどん低年齢化が進行しています。若い選手たちは無駄な時間を過ごすことなく世界に羽ばたき活躍していってほしい。そう思いながら、今、スクールで生徒たちと向き合っています」photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita■プロフィール 中野信治(なかの・しんじ)1971年生まれ。F1、アメリカのCARTおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は日本最高峰のスーパーフォーミュラとスーパーGTに参戦するTEAM MUGENの監督を務めながら、佐藤琢磨とともにSRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)の副校長として若手ドライバーの育成を行なっている。世界各国での豊富なレース経験を生かし、DAZN(ダゾーン)のF1解説も担当している。

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