レッドブル・ホンダ、予選最速もまさか。不用意なドライビングも課題 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

ハミルトンはメキシコでも勝利して王座獲得目前ハミルトンはメキシコでも勝利して王座獲得目前 これならば勝てる――。かなり強い手応えを掴んだレッドブル・ホンダは、3グリッド降格ペナルティが科されようとも、まだ逆転の可能性を信じていた。

 しかし、スタートからわずか5周で、その可能性は完全に潰えた。

 ターン1でハミルトンとの激しいバトルのなか、フェルスタッペンがややワイドに膨らんでハミルトン車に接触。それがきっかけとなってハミルトンは姿勢を崩し、フェルスタッペンはそれを避けるために芝生を大きく突っ切ってコースに戻るしかなかった。

 そして5周目のターン13でボッタスのインに飛び込んだ際には、抜き去った後にラインが交錯してフロントウイングで接触を受けた。こちらは不運と言ってもいいインシデントだったが、接触でパンクを喫したりマシンにダメージを負ってしまっては、勝利を狙うことはできない。

 いくら自分に非がなかろうと、致命的な接触やコースオフは避けなければならない。王座獲得目前のハミルトンが今季の全ドライバーで唯一「全戦完走・全戦入賞」という結果を残しているのは、まさに彼が純粋な速さだけでなく、そんな安定感を身に着けているからに他ならない。

 それと比較すれば、メキシコでのフェルスタッペンの予選最終アタックや決勝序盤のドライビングは、不用意だったと言わざるを得ない。シーズン後半戦に入ってからそんな場面が増えているのも、やや気にかかる。

 結果としてレッドブル・ホンダは、低迷が続いていたシーズン後半戦において千載一遇のチャンスと言えた、特殊条件下のメキシコGPを落とした。

 ハードタイヤで66周を走ったにもかかわらず、フェルスタッペンのペースは上位勢と遜色のないものだった。

「今日のマシンには勝てるだけの力があった。我々の速さから考えれば、そう思うよ。マックスはピットアウト後、上位勢よりも1周2秒も速いペースで走っていた。レース中盤には30周も古いタイヤで上位勢と同等のペースで走っていたんだから、最後尾から挽回した彼の走りは本当にすばらしかった。ペースがよかっただけに、本当に残念だよ」

 クリスチャン・ホーナー代表はそう述べて悔しがった。

 来季、最速のマシンパッケージを作りあげて王座への挑戦を期しているレッドブル・ホンダだが、その頂点に辿り着くためには、もうひとつ超えるべき課題がある。それを知らしめてくれたメキシコGPだった。

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