最強の町工場チームの底力を見よ!
スーパーGTで「打倒ワークス」

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 さすがに土屋監督も、最初は「(この状況で勝つのは)無理だ」と思ったという。だが、チームのテーマである「昨日の自分に負けない」ために、大きなハンデを背負いながらも果敢に挑戦することを決意した。そして、その成果は少しずつ出始め、後半戦では2度のポールポジションを獲得。しかし、シーズンを終えた時、チームはひとつの現実を突きつけられた。

『シーズン、未勝利』

 2015年にチームを復活させて以来、ワーストの結果だった。

 つちやエンジニアリングは、レースの結果より次世代を担う若い人材を育てていくことを目的とし、「一番大事なことは、昨日の自分に負けないことだ」と土屋監督は強調してきた。しかし、優勝という結果が得られなかった現実は、思いのほか重くのしかかった。

「『昨日の自分に負けない』『自分たちの成長』に重きを置いて、みんなで0.001秒を削り取る作業をコツコツやってきたことは成長につながったと思うのですが、それが結果に現れなくて......。何が一番ストレスだったかというと、応援してくれている人たちの『勝ってほしい』『上の順位にいってほしい』という気持ちに応えられなかったことです。それに対しては、すごく歯がゆさを感じました。

 正直、これ以上やりようがないくらいがんばってきたし、クルマの仕上がりも少ない予算の中でやれる限りのギリギリはやってきたつもり。気力も体力も、これ以上ないところまでやりました。でも、勝てない......。これ以上絞り出すのが難しくなってきて、モチベーションもすごく落ちてしまい、本当に(この活動を)やめるしかないかな......と考えたこともありました」

 これ以上のパフォーマンスは引き出せないと感じつつ、それでも土屋監督はクルマと向き合い、セッティングを見直して少しでも速さを引き出してきた。だが、それでも勝利することができなかった現実に、「万策尽きた」という気持ちでシーズンオフを過ごしていたという。

 そんな時、土屋監督の理想に賛同して応援し続けた仲間たちが、彼の背中を押してくれた。

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