苦労が報われたホンダF1。開幕戦3位表彰台も喜んでいる場合じゃない (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかし現時点で、我々のシャシーが大幅に劣っていることもわかっている。それが改善できれば、誰が前にいようと勝負を挑むことができる。今年の我々のパワーユニットはコンペティティブだから、我々が今やらなければならないのはシャシー側だ。つまり、シャシーが改善すれば勝つことができる。あとは、我々次第なんだ」

 3位表彰台という好結果を手に入れてもなお、レッドブルもホンダもそれに満足することなく、さらなる上を意識して気を引き締め直している。クリスチャン・ホーナー代表はこう語る。

「ホンダの供給してくれたパワーユニットはすばらしかった。メルセデスAMGやフェラーリとのギャップを縮めるという目標は、すでに達成できたことが確認できたと思う。

 しかし我々は、ここをベースにさらに前進していかなければならない。フェラーリはここでは強力ではなかったが、間違いなく挽回してくるだろう」

 ホンダの田辺テクニカルディレクターもまったくの同意見だ。

「今日は実力でフェラーリを後ろに従えることができましたが、あとになって、『ここはフェラーリがめちゃくちゃ不得意なサーキットだったね』という結果が出ることもあり得ます。我々パワーユニット側としては、どうやってその差を詰めていくか。上を狙えば狙うほど緻密に物事を詰めていかなければ。それを徹底して、全員が前向きに開発していかなければなりません」

 レッドブル・ホンダは開幕戦で、表彰台というすばらしい結果を手にした。しかし、表彰台という高みを知ったからこそ、あらためて頂点への道のりの遠さが明らかになった。フロアにダメージを負っていたハミルトンはともかく、勝利を収めたバルテリ・ボッタスのメルセデスAMGは22秒も前にいたのだから。ホーナー代表は言う。

「タイトル争いを口にするのは、まだ早すぎる。F1は立ち止まっていることのない世界だ。21戦のうち1戦が終わっただけに過ぎない。今回のレースでは膨大な情報を得ることができたし、これからそれをしっかりと活用し、今後につなげていかなければならない」

 レッドブル・ホンダの主要メンバーたちは、誰ひとりこの結果に浮かれることなく、さらなる高みを目指し、前だけを見ている。だからこそ彼らは、我々にもっとすばらしい光景を見せてくれることだろう。

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