2019.03.20

苦労が報われたホンダF1。
開幕戦3位表彰台も喜んでいる場合じゃない

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 マックス・フェルスタッペンがフェラーリのセバスチャン・ベッテルをオーバーテイクした瞬間、開幕戦オーストラリアGPの舞台であるアルバートパークは歓声に包まれ、レッドブルのピットガレージ、そして観戦していたホンダの八郷隆弘社長ら経営陣も大いに盛りあがった。2015年のF1復帰以来、苦戦を強いられ、厳しい批判をぶつけられ続けてきたホンダにとって、ようやく長年に及ぶ努力が花開いた瞬間だった。

3位に入って開幕戦で表彰台を掴み取ったフェルスタッペン フェルスタッペンは4番グリッドから実力でフェラーリを抜いて3位表彰台を掴み取った後、ホンダへの賛辞を贈ることも忘れなかった。それだけ今年のRB15には車速の伸びがあり、レッドブルが現行規定になってから一度も立つことができなかったメルボルンの表彰台に立つことができたのは、ホンダのパワーユニットの貢献も大きかったということだ。

「表彰台に立つためには、コース上でセブ(ベッテル)を抜かなければならなかった。このサーキットでは、それは簡単なことじゃない。でも、それが果たせたから、とてもハッピーだよ。

 レース中の車速も、昨年までに比べてすばらしい進歩が果たせた。トップ2チームとトップスピードで互角というのは、僕らにとって本当に大きな進歩だ。ホンダにはものすごく感謝している。彼らにとっては、(2014年以降の)V6時代で初めての表彰台だ。それもすごくうれしいね」

 そんな歓喜の渦の中、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターに笑顔はなかった。ホンダの面々の努力が実ったのだから、うれしくないわけなどない。しかし、喜んでばかりもいられない――。それが、厳しい目で現実を見詰める田辺テクニカルディレクターの本心だった。

「うれしいですし、正直に言えばホッとした面もあります。今まで『勝ちにこだわって』と言いながら表彰台にすら上がれていなかったのが、上がれたことは明らかな一歩前進ですから。長い間開発してきたメンバーにとって、自分たちのパワーユニットを載せたクルマがそういうポジションにつけたのは自信になります。