要件を満たすだけでは不十分。日本人F1ドライバー誕生への高い壁 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2021年以降の技術レギュレーションも、いまだに策定できていない。近未来的なフォルムをしたマシンのイメージ画像が公表されたが、その根拠として提示されたのは、ごく当たり前の概要だけ。各チームが研究開発を進めるために必要な技術規定は、まだ固まっていないのが実状なのだ。

 一部の団体からの批判を受けてグリッドガールは廃止されたものの、各グランプリのスポンサーの意向によってはグリッド前方にそのPRのための男女が並んだり、ドライバーズパレードにのみ参加したりと、F1としての主義主張が揺らいだ部分もあった。

 さまざまな部分でアメリカ的な視点による変革がもたらされたことも事実だが、F1そのものの改革はまだまだ本格化にはほど遠い、というのが実際のところだった。

(10)日本人F1ドライバー、今年こそ誕生なるか? → 【結果】×

 2018年は福住仁嶺(ふくずみ・にれい)と牧野任祐(まきの・ただすけ)がFIA F2に参戦し、F1デビューに必要とされるスーパーライセンスの取得を目指したが、果たされなかった。

 牧野が所属したロシアンタイムは2017年のチームランキング1位だった。だが、昨年王座を争ったアルテム・マルケロフ(ロシア/24歳)も今年はランキング5位に終わってしまったように、他の上位チームと比べると導入されたばかりの新車F218の理解にやや苦しんだ格好だ。

 そんなチーム状況だけに、ユーロF3からのステップアップで初めてのピレリタイヤを使った牧野には、やや荷が重かった。だが、シルバーストンあたりからはタイヤの勘所を掴んで右肩上がりに速さを増していき、モンツァのレース1で優勝するなど結果を残した。2年計画の1年目で、初年は「学習の年」と位置づけていたことを考えれば、まずまずの成長曲線だった。

 福住は昨年最下位のアーデンで、約束されていたチーム体制強化も十分に果たされていたとはいえず、最悪の状況でレースを強いられた。さらに、スーパーフォーミュラとの並行参戦もあって、完全にリズムを見失ってしまった。

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