2018.11.12

ホンダが「F1で勝つドライバー」育成に本腰。「速く走るだけではダメ」

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi 樋口 涼●撮影 photo by Ryo Higuchi

 3月下旬にオーストラリアで開幕した2018年のF1世界選手権は、11月末にいよいよ最終戦のアブダビGPを迎える。これで史上最多タイの全21戦が競われた長いシーズンにピリオドが打たれる。

 今シーズン、日本のファンは「イギリスの名門マクラーレンとの3年間にわたるパートナーシップを解消し、新たにトロロッソと組んだホンダがどんなパフォーマンスを見せるのか?」と、復帰4年目を迎えたホンダに熱い視線を注いでいた。

 ホンダはファンとチームの期待に応えるために精力的な開発を進め、着実にパワーユニット(PU)の性能を向上させていった。その結果、2019年からトロロッソに加え、トップチームのレッドブルにもPUを供給することが正式に決まった。

 レッドブルは今シーズン(第20戦ブラジルGP終了時点)4勝を挙げ、メルセデスやフェラーリと並ぶトップチームのひとつだ。毎戦のように優勝争いに加わるチームと新たにコンビを組むことが決まり、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長は「我々にとって2019年シーズンは飛躍の年になる」と語っており、ファンの期待はすでに大きくふくらんでいる。

 しかし同時に「これで日本人ドライバーがいてくれれば、もっと盛り上がるんだけどなあ……」と感じていた人も少なからずいただろう。そんな声に応えるかのように、鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドとホンダが鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)の新体制を発表した。

新たに就任した佐藤琢磨校長と中野信治副校長 SRSは「世界トップレベルのレースで通用するドライバーを育成する」ために1993年に開校した日本初の本格的なレーシングスクールだ。これまで日本初のフルタイムF1ドライバーの中嶋悟氏が校長をつとめ、数々のプロドライバーを輩出してきたが、体制を刷新。2019年から新たにインディ500ウイナーの佐藤琢磨を新校長に迎えることが決まった。

 さらにF1やアメリカのインディカー(CART)、ルマン24時間レースなどで活躍してきた中野信治が副校長に就任。国際舞台での経験が豊富なふたりがSRSを率いることになった。

 今回の体制変更の理由をひとことで言うと、SRSの掲げる目標が「世界トップレベルのレースで通用するドライバーを育成する」ことから次のステージに移ったからである。新しいSRSが目指すのは「世界で勝てる日本人ドライバーを育てること」だ。