D・リカルドはなぜ勝てるレッドブルから勝てないルノーに移籍するのか (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しばらく待ち、最終的に自分でマクラーレン入りを決めた。正しい決断だったと思うし、マクラーレンは子どものころから憧れのチームのひとつ。そこに入ることができるというのに、ガッカリする理由はないよ」

 サインツはそう語るものの、レッドブルやルノーと同じパワーユニットを積みながら、ルノーよりさらに劣るマクラーレンをわざわざ選ぶ者はいない。フェルスタッペンとの関係性も考え、チームの混乱を避けるという意味でも、レッドブルはガスリーをフェルスタッペンと組ませるのが妥当と判断したのだろう。

「あっという間のことで本当にビックリだったけど、新たな挑戦にすごくワクワクしているよ。ダニエルの発表を聞いたときには驚いたけど、ヘルムート(・マルコ/レッドブルのモータースポーツアドバイザー)からは決断にしばらく時間がかかると言われたんだ。

 なんとか夏休みを楽しもうと思ったけど、忘れることなんてできないよね。ヘルムートから電話を受けて、レッドブルに乗せることを決めたと聞いたときは、本当にうれしかったよ。僕のキャリアにとって、ものすごく大きなステップだからね」

 今シーズンここまでのレースぶりを毎週末、毎日ずっと取材してきた印象からいえば、ガスリーは純粋な速さはあるものの、フェルスタッペンのような常識はずれで驚異的な速さというほどではなく、レース週末全体を見て組み立て上げる点はまだまだ未熟だ。レッドブルともなれば、レースに対する取り組み方はトロロッソの比ではないほど、細かくレベルが高い。

 まだレーシングドライバーとして未成熟なガスリーがレッドブルに加わり、フェルスタッペンと組んだとき、その驚異的な速さの前に潰されてしまうのではないか、という危惧がある。

 しかしガスリー自身も、そのことはよくわかっている。わかったうえで挑戦し、前に進もうとしている。

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