2018.08.23

スーパーフォーミュラ王者が見せた底力。
逆転タイトルへ大きく前進

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 2018年のスーパーフォーミュラも、いよいよ後半戦に突入した。シリーズ第5戦は栃木県の「ツインリンクもてぎ」で行なわれ、頂点に立ったのは石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。昨年のチャンピオンがようやく今季初優勝を遂げた。

安定したドライビングで今季初優勝を遂げた石浦宏明 石浦がドライバーズチャンピオンを獲得したのは2015年と2017年。いずれの2シーズンも序盤からランキングをリードする展開で、シリーズ終盤で追い上げる戦い方ではなかった。だが今年は、状況がまったく違っている。

 第2戦・オートポリスは悪天候で中止となり、第3戦・SUGOはレース展開に恵まれずノーポイントに終わった。前回の第4戦・富士では2位表彰台を獲得したものの、この時点でトップから8ポイント差のランキング3位。これまでとは違い、「追いかける立場」としてシーズン後半を迎えた。

「普段、ランキングのことはあまり気にしないんですが、今回は(サーキットに)来る前からポイントのことを気にしていました。今年は(第2戦が中止となったために)1レース少ないので、1戦1戦の重みが違う。チャンピオン獲得のことを考えて逆算すると、ここが正念場となる」

 レース前にそう語った石浦は、予選から気迫を見せる。Q1、Q2ともに野尻智紀と松下信治のDOCOMO TEAM DANDELION RACING勢に先行を許すが、最終のQ3で逆転に成功。今季初のポールポジションを勝ち取った。

 これでまず石浦は、ポールポジションボーナスの1ポイントを獲得。ランキングトップの山本尚貴(TEAM MUGEN/予選7位)に一歩近づいた。しかし予選後の石浦は、「重要なのは明日の決勝で勝つこと」と、ほとんど笑顔を見せることはなかった。

 そして8月19日の決勝レース。朝のフリー走行で石浦は、入念にスタート練習を行なっていた。ツインリンクもてぎは追い抜きが難しいコースとして知られており、予選のポジションに加え、スタート直後の順位でレースの行方がほぼ決まってしまう。決勝でのレースペースに自信のあった石浦は、スタートでトップを死守できれば勝てるチャンスが大きくなると考え、準備を整えていた。