必然だったレッドブル・ホンダ誕生。ミッションは2年での王座奪還だ (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 レッドブル側と交渉を続けてきた山本モータースポーツ部長はこう語る。

「とにかく彼らは勝つことだけを考えている。どうすれば勝てるか、どうすればチャンピオンになれるか、そういう話しかしません」

 レッドブル残留か、はたまたメルセデスAMGあるいはフェラーリへの移籍かがまだ決まっていないダニエル・リカルドも、その考え方は同じだ。

「僕の最優先事項は、ワールドタイトルを獲得できるマシンを手に入れることだよ。それが、まず第一だ」

 つまり、2019年および2020年のレッドブル・ホンダがタイトルを争うに相応しいマシンたりえるのか――。それが、リカルドがレッドブルに残留するかどうかを決めるうえでのキーファクターになる。レッドブルが要求するのは、今のようにパワーの不利が出にくいサーキットや運のいいときだけなんとか勝てるマシンパッケージではなく、2強と互角に戦い、ワールドチャンピオンに挑むことができるマシンだ。

 レッドブルと手を組むホンダに求められるのは、まさにそういうことだ。

 この現実に対し、田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「かつてのチャンピオンチームですし、現在もトップレベルのチームですから高い要求も覚悟していますし、それに応えなければ我々としても進歩できないと思っています。大きなプレッシャーを感じていますが、大きなチャレンジだと思っています」

 開発の指揮を執る浅木泰昭執行役員も、「トップを争うというのは、そういうことですから」と、そのプレッシャーに応えて当然だと語る。

 名門レッドブルと組むことについて、マクラーレンと組みボロクソに言われ続けた3年間の二の舞になるのではないか、と不安視するファンの声も聞こえてくる。しかし、過去のルノーとの舌戦を振り返ってもわかるように、レッドブルが相手を批判するのは自分たちのメンツのためではなく、勝利を手に入れるためだ。それはあくまで理にかなった批判であり、改善させて勝利を手にするという最終目的を達成するためのものだ。

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