必然だったレッドブル・ホンダ誕生。ミッションは2年での王座奪還だ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ホンダはレッドブルとトロロッソのためだけにパワーユニットを開発してくれるわけで、つまり(カスタマー供給のルノーとは異なり)純粋に僕たちのクルマに合わせて作られるパワーユニットになるんだから、とてもいいことだよ」(フェルスタッペン)

 エクソンモービルのスポンサードを受けるレッドブルは、BP/カストロールに合わせて作られたルノー製パワーユニットの性能をフルに引き出すためにハンディキャップを負っている。だが、ホンダはすでに今年からモービルを使っていて、その心配もない。燃料・油脂類の開発だけで数十kWも違ってくることもあるだけに、これは決して小さくない効果だ。

 第二に、レッドブルがルノーの性能と信頼性に不満を持ち続けているという点もある。

 2014年に現行規定が導入されるはるか以前から基礎開発を続けてきたにもかかわらず、ルノーはメルセデスAMGやフェラーリに依然として大きな差をつけられている。パワー影響の小さいモナコGPで他を圧倒する速さを見せたのは、レッドブルの車体性能が優れていることを意味し、逆に言えば他のサーキットではルノーの非力さゆえに勝利を逃し、タイトル争いの権利を奪われているも同然だ。「予選モード」がなく、予選で2強チームとの差が広がってしまうことも、レッドブルがルノーに対して抱える不満のひとつだ。

 それに対し、ホンダはカナダGPで投入した「スペック2」でいよいよルノーに並んできた。性能と信頼性が同レベルなら、レッドブルにとっては制約の多いルノーを選ぶ理由はなくなってしまう。ましてや、年間20億円を超すパワーユニット代金が、ホンダならば無料になる。ルノー側も自陣営で唯一勝利のチャンスを持つレッドブルをキープしようと大幅減額のオファーをしたというが、それでも意向は覆(くつがえ)らなかったのだから、レッドブルにとっては金額よりも何よりも優先されるべきは性能なのだろう。

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