国内でもホンダ祭り。危機一髪、スーパーGT開幕戦でワンツー決めた (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 しかし今回は、「またか」の予感がうれしい方向に外れた。見た目は"カジキマグロ"のようになってしまったが、奇跡的にも刺さったパーツは脱落することもなく、17号車に大きなトラブルを引き起こすこともなかった。マシンフロント部分にはラジエーターなど重要なパーツがたくさんあるため、刺さった箇所が数センチずれていれば間違いなくリタイアに追い込まれていただろう。

 ドライバーの塚越を動揺させないために、チームはその状況をあえて伝えなかったという。塚越はそのときの状況をこう語る。

「正直、こういうふうになっていたとは知らなくて、チームからの無線もありませんでした。よけいな心配をかけないように、勝智さん(金石監督)が配慮してくれたんだと思います。やっぱり不安要素があるとドライビングにも影響が出ますし、あの状況は集中しなきゃいけない場面だったので、そこはドライバー経験のある勝智さんならではの配慮だったと思います。

(レース後にパーツが刺さったマシンを見たときについて)まさか、こんなことになっているとは思わなかったです。でも、クルマは生き物じゃないけど......(17号車は)僕たちの気持ちを一緒に運んで、最後まで耐えてくれたのかなと思います」

 最終的に17号車は2番手の100号車に1秒後方まで迫られるも、なんとかトップを守り切ってフィニッシュ。リアルレーシングは2010年の第5戦・スポーツランドSUGO以来、実に8年ぶりの優勝を飾った。

 レース後、金石監督は安堵の表情を浮かべながら開幕戦をこう振り返った。

「今シーズンはテストから調子がよかったので、逆にプレッシャーもありました。ずっと勝てそうで勝てないレースが続いていたので、ようやく勝つことができて(チーム全体が)ひとつレベルを上げることができたかなと感じています」

 リアルレーシングを長年支えてきた塚越も、ひさびさの勝利に募る思いがあふれた。

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