勝者も敗者も笑顔。マルケスとドヴィの劇的なシーズン、最高の終幕 (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 一方、ロレンソはこの機を見逃さずにペースをアップ。ドヴィツィオーゾを連れてさらに前へと迫っていった。

 しかし、「ザルコとダニのペースが少し落ちてきたので攻めようとしたけれども、どのコーナーでもフロントが切れ込んでいた」とレース後に振り返ったとおり、ロレンソはすでに限界を超えた状態だった。

 ロレンソは24周目の5コーナーで転倒し、その少し先の8コーナーでドヴィツィオーゾも転倒。このときの様子について、ドヴィツィオーゾはレース後に、「表彰台はどうでもよかった。勝ちたかったし、勝たなければならなかった。できることはすべてやった。8コーナーは自分の勝負どころだったので、ハードブレーキングで攻めた。でも、タイヤが消耗していて、数周前のようには停めることができなかった」と説明した。

「僕たちはずっと、限界以上で走っていた。0.2秒ほどのことだけど、あのレベルでの走行では、このわずかな差が大きな違いになってしまう」

 ドゥカティ2台がレースから消えたことで、マルケスは3番手に繰り上がり、そのままの順位でゴール。昨年に続き、MotoGPクラスの王座を連覇した。優勝はペドロサ。最終ラップの1コーナーで乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負を仕掛けてザルコをオーバーテイクし、シーズン2勝目を挙げた。

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