ドゥカティ背水の勝利。マルケス×ドヴィツィオーゾの決着は最終戦へ (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 その金曜午前と午後のフリー走行は、2回ともドヴィツィオーゾがトップタイム。高い緊張感を維持して必勝態勢で臨んでいることは、この日の彼の表情や走行後のコメントからも十分にうかがえた。予選でもポールポジションこそ逃したものの、僅差の3番手タイムでフロントローを獲得。一方のマルケスは3列目7番グリッド。やや厳しい位置からのスタートである。

 日曜の決勝日は、開始時刻直前に南国特有の粒の大きい雨がひとしきり降って、フルウェットコンディションでのスタートになった。

 レースは序盤にヨハン・ザルコ(モンスター・ヤマハ Tech3)がトップを走行し、やや離れてホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)-マルケス-ドヴィツィオーゾという順序で推移した。ほどなくドヴィツィオーゾはマルケスの前に出て3番手に浮上。2番手にいたロレンソが一時は1秒以上の差を開いてリードしていたザルコを捕まえると、続いてドヴィツィオーゾもオーバーテイクし、レース中盤にはロレンソ-ドヴィツィオーゾ-ザルコ-マルケスという順になった。

 この状態でレースが終わるとマルケスのチャンピオンが確定するため、ロレンソはおそらくどこかでドヴィツィオーゾを前に出すのではないか、とも思われたが、その矢先にヘアピン状の最終コーナーでロレンソがあわや転倒というヒヤリとする一瞬があった。その隙をうまく突いてドヴィツィオーゾが前に出たことで、チームオーダーを発動するまでもなく、ドヴィツィオーゾ-ロレンソ-ザルコ-マルケスという順序に落ち着いた。

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