マルケスの判断力&ホンダの対応力。天候不順のレースなら任せとけ! (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「午前のウォームアップ走行でいいフィーリングを得られなかったので、レース序盤にソフトコンパウンドで一気にペースを上げておいてから、早めにピットへ戻ってマシンを交換する」のが当初の作戦だったようだ。

 レースがスタートすると、マルケスは先頭で1コーナーへ飛び込みホールショットを奪ったが、コーナーごとに順位を落として2周目には5番手あたりまで下げる。この周回でマルケスはピットへ戻り、誰よりも早くスリックタイヤのバイクに乗り換えた。「スピニングが激しく、このタイヤ選択は失敗だったと思ったので、さっさとピットインすることにした」のだという。

 コースへ復帰したときにマルケスの見た目の順位は19番手だったが、やがて他の選手たちも続々とピットインしてバイクを乗り換えていくなか、マルケスはすでにスリックタイヤの速いペースをいち早く維持することに成功していた。皆がマシン交換を終えてコースへ復帰したころの6周目には先頭に立ち、10周目には2番手に対して20秒以上の差を開いていた。この圧倒的なリードを残りの12周で完璧にコントロールし、トップでチェッカーフラッグを受けた。

 雨から晴れ、あるいは晴れから雨へコンディションが変わっていく状況下では、どのタイミングでピットへ戻ってマシンを交換するかという判断が、その後のレース展開を大きく左右する。トップ集団の数名が僅差で激しく争っている場合は、意地の張り合いと戦略の駆け引きが勝負を決める。

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