過去最高の強さ。室屋義秀が、エアレース千葉大会で「ダブル連覇」へ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 だが、今季は違う。室屋の言葉を借りれば、「改造の予定はなく、ファインチューンするだけ」。不安なくレースに臨める状態まで、すでに機体は仕上がっている。

「今年はサンディエゴで勝っているので、その(機体の性能で劣る)心配はない。焦って改造する必要はなく、リラックスして楽にレースを迎えられる状態にある」

 アブダビでの開幕戦で室屋を悩ませたエンジントラブルも、すでに原因の特定に至り、解決に至っている。

 新たに導入したクーリング(エンジン冷却)システムの問題なのか、あるいはエンジンのシリンダーとピストンを交換したことが原因なのか。レース当時は、問題点がはっきりしなかったが、その後、クーリングシステムがうまく機能していなかったことが判明。アブダビ戦後、(詳細はここでは記さないが)再び新システムを機能させるべく、試作とテストを繰り返し、結局、導入断念という結論に達した。

 結果として、大まかなクーリングの仕組みとしては昨季のシステムに戻すことになったため、一歩後退の印象も受けるが、それでも十分に戦えることはサンディエゴ戦での優勝が証明している。室屋が語る。

「それだけ昨季の機体の状態がよかったということでもあるし、実際はオイルクーラーなど、少し改良している部分もある。また、(レース機は空冷エンジンのため)たくさん空気を取り込んで冷やせば、エンジンには余裕が出るが、その分、抵抗が大きくなってしまうなかで、最適値を求めてセッティングを詰めてきたので、それで(昨季より)速くなっているんだと思う」

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