英国人記者がF1ホンダに喝!「もっと本気でやれ。やればできる」
いよいよ開幕した2017年のF1グランプリ。開幕戦のオーストラリアGPを終えて見えてきた2017年F1の勢力地図は? そして、苦戦が伝えられるマクラーレン・ホンダの現状は? イギリスのモータースポーツ専門紙「レースカーエンジニアリング」などで活躍するモータースポーツジャーナリスト、サム・コリンズ氏が分析する。
開幕戦を終えて勢力図が見えてきた今シーズンのF1 今年のF1をひと言で表現するなら「変化のシーズン」。なかでも最もインパクトが大きいのは車体レギュレーションの大幅な見直しだ。今回の規定変更の狙いはシンプルで、F1を「速く」「ドライビングが難しく」そして「カッコよく」することである。
具体的には太くて大きなタイヤでコーナーでのグリップ力が増しており、マシン全体が大型化したことに伴い、ボディの空力性能も大幅アップ。その結果、ダウンフォース(マシンを路面に押し付ける力)は昨年比でおよそ30%増。タイヤがコーナーで踏ん張る「メカニカル・グリップ」も推計で20~30%増したと言われている。
これにより、今年のF1は「とてつもないコーナーリング性能」を手に入れることになった。それを実感したのが開幕前のバルセロナテストで、昨年までは1コーナーの手前、90~100mでブレーキングしていたのに、今年のブレーキングポイントはコーナーのわずか25m手前。つまり、ほとんど減速せずにコーナーに突っ込んでゆく。
もちろん、それだけマシンの旋回速度が高くなると、ドライバーの肉体的な負担も大きくなる。実際、開幕戦のメルボルンでは、高速コーナーでの瞬間最大値で8Gという驚異的な横Gを記録。これは、数秒続けばドライバーが失神しかねないレベルだ。
また、タイヤの大型化でグリップが増した分、マシンが限界を超えた時のコントロールが大幅に難しくなり、小さなミスが大きなアクシデントにつながりやすい。オーストラリアGP予選のダニエル・リカルド(レッドブル)のクラッシュなどはわかりやすい例だろう。
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