「猛獣だね」とドライバーたちが絶賛する史上最速F1マシンの凶暴度 (8ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ピレリのイゾラはこの理由をこう説明する。

「スナップオーバーステアが発生しやすいというのは確かにあり得ることだろう。ダウンフォースレベルとグリップレベル自体が上がっているから、このコンビネーションによって起きるんだ。もともとのグリップが高いと、そのグリップを失うときには(突然失われて)スナッピーになりやすい。ただ、セットアップによってこの傾向は抑えることができるので、どのチームももっと予測しやすくドライブしやすいマシン挙動になるよう、セットアップ改良に腐心しているようだ」

 こうした要素から、今年のF1ではドライバーたちがミスを犯す場面も増えそうだ。レースを通して攻めた走りとバトルのできる環境が整い、辣腕(らつわん)のドライバーたちでさえミスを犯すほどの速さとトリッキーさもある。だからこそ、コースのあちこちで激しいバトルが繰り広げられることになる。

 第1回目のテストでは、昨年の初回テスト最速記録1分22秒810(セバスチャン・ベッテル/フェラーリ)を3秒も上回る1分19秒705をボッタスが記録している。第2回目テストではさらにマシンの開発とセットアップが進み、開幕戦オーストラリアGPにはさまざまな開発パーツが投入されて「まだ2~3秒速くなるのではないか」とみる関係者もいる。

 史上最速のF1マシンがもたらすF1の変貌に、期待せずにはいられない。

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