日本人F1ドライバー誕生のため「シートを用意する」ホンダの本気度 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 昨年までは元F1ドライバーの鈴木亜久里や、ドイツF3やインディカー参戦経験のある松浦孝亮らがアドバイザーを務めてきたが、レース以外の面でもマネジメントや精神面のケアをする人材の配備も検討しているという。

「現地での経験が豊富な人をつけたほうがいいんじゃないかという議論はしています。たとえば、琢磨がイギリスF3からF1へ行った背景にはイギリス人のマネージャー(元レーシングドライバーのアンドリュー・ギルバート=スコット)がいて、そこでいろんなことを教わってメチャクチャ育ったことが大きかったと思うんですよね。今の若手3人にはそれがまだありませんから」

 山本MS部長は、かつて自身が全日本カート選手権のトップランカーとして走っていたレーシングドライバーであり、MS部長就任以前は本田技術研究所の技術広報責任者を務めるなど、レースにも技術にも造詣が深い。それだけに、レースをいかに戦うべきかを知っており、そういう人物が指揮を執っているという信頼と安心がスタッフの間にも感じられる。HFDPに限らず、F1までをも含めたホンダのモータースポーツ活動全体がうまく回り始めるだろうと言われているのは、山本MS部長の存在が大きい。

 日本のファンが懸念しているのは、スーパーライセンスが取得できたとしても、F1のシートを獲得するためには莫大な持ち込み資金が必要とされ、そんなスポンサーなど存在しないのではないかという点だ。

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