F1ホンダ、今季のダメ出し。「3強の後ろ」という見通しの甘さに喝! (6ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 実はマクラーレンには、以前からこの傾向があった。しかし、表彰台に絡んでいた2013年以前は、この実走とシミュレーションの"ズレ"がよい方向に出て、「自分たちの想定よりもマシンが速い」という不思議な現象が起きていたため、あまり問題視されなかったのだ。

 だが、2016年のシーズン終盤に「踏めないがためにシミュレーションよりもエンジン全開率が何%も低くなる」(ホンダ関係者)という事態に直面するようになって、いよいよ「シミュレーション技術に問題があるのではないか......」とチーム技術陣も認めざるを得なくなった。第18戦・アメリカGPからの4戦で、慌ててデータ収集や映像記録などによって実走状況の正確な把握と、シミュレーション技術の是正に乗り出してきた。これが、2017年に向けて「遅すぎた努力」にならなければよいのだが......。

 加えて11月には、ロン・デニスの解任騒動が起き、デニスの鶴のひと声で9月に加入したばかりのヨースト・カピートCEOの離脱が決定的になるなど、チーム体制面の不安もある。デニスの強権ぶりには賛否両論あったものの、彼に代わってチームを牽引するような強大な存在はまだいないだけに、これもネガティブな要素と言える。なにより、今は政治的なことにかまけている場合ではないと思うのだが......。

「○」に比べてやや「×」のほうが多いと言わざるを得ない。それが、2016年のマクラーレン・ホンダだった。

(つづく)

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