今季のF1ホンダを再検証。開発目標が低すぎてライバルに追いつけず (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ホンダのRA616Hは、ICE(内燃機関エンジン)のパワーも不足していれば、ターボとMGU-H(※)からの回生もまだ完全に開発目標を達成できたとはいえず、そのせいで、長いストレートや全開率の高いサーキットでは苦戦を強いられた。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heat/排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 加えて、車体面でも想定どおりの空力性能が発揮できず、中高速コーナーで悪戦苦闘。ダウンフォースが少ないせいで、タイヤの発熱も悪ければ、保(も)ちも悪いという二重苦に苛(さいな)まれた。

「ブレーキングの安定性が大きな長所」とチームは言うが、言い換えればそれは、車体に当たる風向きが変わらない直線走行時はいいが、風向きが常に変わるコーナリング時には風洞やCFD(電子風洞)のシミュレーションどおりに空力性能が発揮できない、ということだ。

「まさにそういうこと。風向きが変わらない状況下でしか、シミュレーションどおりに安定して機能していない状況なんだ。開発チームも当初から薄々は気づいていたはず。しかし、日本GPであの惨状を突きつけられて、いよいよ認めざるを得なくなった。そこから見直しが始まったんだ」(マクラーレン・ホンダのあるエンジニア)

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