【エアレース】室屋義秀が「敗れても強い」ファステスト・ルーザーに (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

注目すべきは、ラウンド・オブ・14での室屋のフライトである。

 室屋はフワン・ベラルデと対戦。室屋の4位に対し、ベラルデは11位と、年間総合順位では大きく差があるものの、ベラルデは第2戦の予選をトップ通過するほどの力を持つ。いきなり対戦するには、かなり厄介な相手である。実際、ベラルデは、ラウンド・オブ・14のなかで最速のタイムを叩き出した。後に飛んだ室屋は、これを上回ることができず、ベラルデに敗れた。昨季の前半戦あたりまでなら、これでジ・エンド。ラウンド・オブ・14敗退で、室屋の戦いは終了である。

 ところが、そうはならなかった。室屋が記録したタイムは、ラウンド・オブ・14では全体で2番目のタイム。つまり、ベラルデ以外には負けていなかったのだ。この結果、室屋は「ファステスト・ルーザー(敗者のなかの最速タイム)」となり、ラウンド・オブ・8に進出した。

 ファステスト・ルーザーという敗者復活のルールには、一見したところ、勝てなかった弱いパイロットが救われるかのようなイメージがある。だが、1対1のヒート方式で行なわれるラウンド・オブ・14では、過去のレースを振り返ってみると、対戦ごとに"当たり外れ"が生まれやすい。要するに、いきなり実力者同士が当たってしまうケースが少なくないのだ。

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