【エアレース】室屋義秀が「敗れても強い」ファステスト・ルーザーに

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 室屋義秀は苦笑いを浮かべ、少し面倒くさそうに、それでいて、やはりうれしそうに口を開いた。


エアレース第4戦のブタペスト大会で、「敗者復活」を経て5位に入った室屋 (c)red bullエアレース第4戦のブタペスト大会で、「敗者復活」を経て5位に入った室屋 (c)red bull
「忙しくて、とにかく大変だった」

 およそ1カ月前、千葉で行なわれたレッドブルエアレース・ワールドチャンピオンシップ第3戦で、念願かなって初優勝を果たした室屋は、その後しばらくの間、多忙な日々を送ることになった。次々に依頼が舞い込む取材をこなし、地元・福島では表彰も受けた。多方面での祝賀イベントも多く、自分が成し遂げたことの大きさを、あらためて実感することになった。

 室屋は前回の第3戦を、「レースに入ってしまえば、日本開催であってもいつもと同じ。そんなに意識しないようにしていた」と振り返る。だが、こうして実際に優勝してみると、地元で勝つことの効果はあまりにも大きかった。メディアの注目を集めたことはもちろんだが、これまで自身を支えてくれた人たちに、直に晴れ姿を見てもらうことができ、わずかながらでも恩返しすることもできた。

「そう思ってレースに臨んだわけではないが、結果としては、そういうことになる。千葉で勝つのとほかで勝つのとでは10倍くらい、いや、10倍どころではなく100倍くらい違ったかもしれない。いろんなプレッシャーがある難しい状況のなかで勝てたことはよかった」

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