【F1】大混乱を招いた「新予選システム」はいったい何だったのか? (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 しかしその後、急に反旗を翻したチームが現れ、なんと予選フォーマットの変更は見送られることになってしまった。シーズン中のレギュレーション変更には全チームの合意が必要で、「この駆け引きを、まったく別の議題の譲歩を勝ち獲るために使おう」という魂胆だろうが、こうして全チームの足並みが揃わなかったことで、"茶番劇"は本当のドタバタ騒動になってしまったのだ。

「F1の魅力減少」が叫ばれる昨今、スポーツとしての面白さを広め、エンターテインメントとしての魅力を高めるような工夫は歓迎すべきことだ。しかし、今回の茶番劇に端を発した騒動は、F1の品位を貶(おとし)める以外の何の効果も生み出していない。

「トライするのは悪いことじゃないし、誰にだって間違いはある。だけど、僕らには責任というものがある。予選後に観客席にいた人たちがどう感じたかを聞いて、次に向けてどうするべきかを考えるというのが、今、僕たちがやるべきことなんじゃないかな」

 ベッテルがそう言うように、ファンが求める"真の感動"とはどんなものなのか、F1に携わるすべての者が今一度、よく考え直すべき事態に直面しているのではないだろうか――。


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