2016.03.30

【F1】大混乱を招いた「新予選システム」は
いったい何だったのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 まだ予選終了まで3分以上の時間が残されているというのに、クルマを降りてしまったメルセデスAMGの両ドライバーの姿を見て、メルボルンのグランドスタンドを埋め尽くした観客たちは呆然と立ち尽くしていた。中には、さっさと観客席を後にする者もいた――。

セバスチャン・ベッテル(右)は新予選システムに異を唱えた「こうなることはわかっていたんだ。だけど、観客席で見ていてくれた人たちのことを思えば、これは決して正しいことじゃない」

 予選3位のセバスチャン・ベッテルは言った。

 メルセデスAMG勢に対抗することができないと悟ったフェラーリ勢は、5位以下のノックアウトが確定した残り7分の時点で、「もうコースインはしない」と早々に決めた。予選直後の記者会見だというのに、彼らはもうレーシングスーツから私服に着替えてやってきたほど時間があった。チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは、テレビカメラに向かってピットウォールで大袈裟に肩をすくめて見せた。

 フェラーリにとってみれば、最後までアタックができない「不完全燃焼の予選」だった。そしてそれは、ほぼすべてのドライバーたちに言えたことだった。

 2016年シーズン開幕直前の3月4日になって導入が決まった新たな予選フォーマットは、当初から批判の声だらけだった。

 Q1、Q2、Q3の各セッションの開始数分後から、1分半ごとにその時点で最下位のドライバーが自動的にノックアウトされていくという、前代未聞の方式――。