【F1】大混乱を招いた「新予選システム」はいったい何だったのか? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

F1運営組織「フォーミュラワン・グループ」のCEOバーニー・エクレストンF1運営組織「フォーミュラワン・グループ」のCEOバーニー・エクレストン では、どうしてこんなものが可決され、WMSCで承認されてしまったのか?

 実は、F1界のボスであるバーニー・エクレストンがQ3進出のトップ8台または10台を逆の順にグリッドに並ばせる「リバースグリッド案」を提唱し、チーム側がそんなトンデモ案を却下するために用意した代替案が、この新フォーマットだったのだという。

 メルセデスAMGの圧倒的な速さのせいで、F1がエキサイティングでなくなってしまったという声が渦巻いているのは事実だ。しかし、対策を打つべきは決勝であって、特段変更の必要性が唱えられていなかった予選に急にフォーマット変更の話が持ち上がったのは、そのせいだったのだ。

 チーム側とすれば、新フォーマットがエキサイティングでなく、退屈なものであることはわかりきっていたことだった。しかし、予選1位・2位のメルセデスAMGが7位・8位グリッドからスタートし、予選8位のフォースインディアやトロロッソがポールポジションからスタートするような、スポーツとしての根幹を揺るがすようなトンデモ案は、なんとしても導入を阻止しなければならなかったのだ。

 メルボルンで実際に予選が行なわれて批判の声が渦巻き、次戦バーレーンGPからはもとの予選フォーマットに戻す――。そこまでを含めて、すべては予見されていた"茶番劇"だったのだ。事実、予選の直後にはメルセデスAMGのトト・ウォルフ代表の携帯電話にバーニーから電話が入り、日曜決勝前に開かれた各チーム代表者による緊急ミーティングでは、バーレーンGPから予選フォーマットを戻すことで合意された。

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