MotoGP開幕。ロレンソ今季1勝目の陰で光った、スズキの逸材

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 2016年シーズン開幕戦は、恒例のナイトレース。カタールのドーハ郊外にあるロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された。

開幕戦カタールGPを制した昨年のチャンピオン、ホルヘ・ロレンソ(右)開幕戦カタールGPを制した昨年のチャンピオン、ホルヘ・ロレンソ(右) 今シーズンは、公式タイヤサプライヤーがブリヂストンからミシュランに変わったことと、全選手に対して同一のECU(電子制御)ソフトウェア使用が義務づけられたため、それがメーカーやライダー間の力関係にどのような影響を及ぼすのか、プレシーズンから大きな話題になっていた。だが、開幕戦を終えてみれば、勢力図は従来どおりのライバル関係で推移をしてゆくであろうことがうかがえるリザルトになった。

 優勝を飾ったのは、2015年チャンピオンのホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)。ポールポジションからスタートしたロレンソは序盤から先頭集団につけ、9周目でトップに立つと終盤には一気に突き放しにかかる得意の展開で、まずは今季1勝目。ミシュランタイヤは、去年までのブリヂストンと比較すれば、最適な作動温度域に入るまで若干の時間を要するらしく、それがロレンソのレース運びにどのような影響をもたらすのかにも関心が集まった。だが、フタを開けてみれば、王道の勝ちパターンで推移した。

「苦労なく、ミスなく、レース中にもスムーズに走り切ることができたよ。完璧だった。特にレース中盤から終盤は最高の走りをできたと思う。最後の3周で違いを見せつけることができたんじゃないかな」と、安心した穏やかな表情でレースを振り返った。

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