新たに就任したホンダF1総責任者「長谷川祐介」とは何者か? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 量産車の世界も、本来はそうだ。だが、量産では性能以外にも、コストやデザイン性などさまざまな要素が共存しなければならない。しかし、F1は違う。だからこそ、「ホンダにはF1をやる意味がある」と長谷川は言う。

 そして、技術者然としたその態度や言葉の端々からは、「ホンダの一員」であるということに対する誇りや魂のようなものが感じられる。

「これは個人的な意見ですけど、『ホンダというのは、やっぱりF1をやっていなきゃ』という気持ちが社内全体にもあると思うんです。ファンの方々にもそう思っていただけていると思います。そして、やるからには勝たなきゃいけないという気持ちがありますし、それが当たり前のことだと思っています」

 2008年12月5日のF1からの撤退発表後、長谷川は日本に戻ってレースから離れ、本田技術研究所でハイブリッド技術やEV技術の研究開発に従事してきた。その間、たまにテレビでF1を見ることはあっても、それほど熱心にフォローしていたわけではないという。

 しかし、またしても突然の辞令でひさびさに舞い戻ったF1の世界は、すんなりと長谷川を迎え入れてくれた。2015年から始まったマクラーレン・ホンダとしてのF1活動でも、現場では第3期でともに戦ったスタッフが何人もいたからだ。

 そこで長谷川が目にしたのは、予想以上にチームと一体化して、"ワンチーム"として働く彼らの姿だった。

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