徹底検証・屈辱の参戦1年目。ホンダのF1復帰は早すぎたのか? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ディプロイメントが切れると、DRS(※)を閉じたときのように減速する」
「ストレートを走っていて、恐いくらい周りとの速度差がある」
「GP2エンジンだ……」

※DRS=Drag Reduction Systemの略。ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 ドライバーたちは口々に、ディプロイメントが切れたときのパワー不足を訴えた。ダブルでハンディを背負っているホンダのパワーユニットは、他メーカーに較べてディプロイメントが切れる時間――つまり、160馬力のERS(エネルギー回生)アシストなしの1.6リッターV6ターボエンジンだけでの走りを強いられる時間が長くなってしまう。

 問題を抱えたターボチャージャーとMGU-Hは、原則として開発が凍結されている現在のF1のルールでは、そう簡単に修正することはできない。毎レース新しいものを投入し、セッションごとにエンジンを載せ換えていたような、かつてとは時代が違っていた。

「ディプロイメント不足の問題を解決するためにはレイアウト変更が必要で、確認項目が多すぎますし、それには膨大な時間と労力がかかってしまう。問題点はわかっていても、対策できないことがたくさんありました」(新井総責任者)

 このディプロイメント不足に大きく足を引っ張られ、参戦1年目のホンダはファンの期待に応えるだけの結果を残すことができなかった。他メーカーが2014年のレギュレーション改定の3~4年も前から研究開発を行ない、レギュレーション策定にも参画してきたのに対し、ホンダは2013年5月のF1参戦発表からわずか1年10ヶ月で完成させなければならなかった。

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