【F1】前哨戦でも苦戦。ホンダの日本GPはどうなるのか? (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「正しい方向に進んでいる」と語るフェルナンド・アロンソ「正しい方向に進んでいる」と語るフェルナンド・アロンソ 夏休み前に「後半戦はフェラーリに並ぶ性能を」と掲げていた目標を達成できなかったのは、そのせいだ。以降、新井総責任者は大きな目標を口にすることは避けてきたが、それは「ビッグマウス」と揶揄されることを恐れてではなく、現実的にその可能性が極めて厳しくなったからに他ならない。

「ディプロイ(エネルギー回生)の問題を鈴鹿までに解決することはできませんし、楽な戦いにはならないと思います。今のパワーユニットは非常に複雑ですし、いろんな技術を次々に入れられるレギュレーションでもありませんから、シーズン当初のつまずきがかなり尾を引いているというのが現実です。ハードウェア面ではやれることは限られていますけど、ソフトウェア面ではここまでのレースで積み重ねてきたデータと経験をすべて投入して、やれるだけのことはやって臨みたいと思っています」

 シンガポールGPで突き付けられたように、今のマクラーレン・ホンダのチーム全体としての総合力は、中団でポイントを争えるかどうか……というギリギリのところにある。よりテクニカルで負荷の高い鈴鹿の日本GPでは、それよりも苦しい戦いを強いられることになるかもしれない。

 それでもマクラーレン・ホンダの全スタッフは、全力でひとつでも上のポジションを目指して戦う。

 新生マクラーレン・ホンダにとって、初めての日本GPが、間もなく始まる――。

 そこでどんな現実が突きつけられ、どんな結果になろうとも、それが全力で戦う彼らの努力の結晶であり、それはより高い目標地点へと目指す途上の通過点でしかない。そう理解して、温かい声援を送ってもらいたい。

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