【F1】総責任者が語る「マクラーレン・ホンダに不足しているもの」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 だが、激しいバトルがアロンソのマシンに予想外の負荷をかけることになった。ERSの冷却が十分にできなくなり、トラブルを未然に防ぐためにチームは21周でピットへと呼び戻しリタイアさせた。

「今日は良いレースができているなと思っていたんですが……。あれだけバトルをやっていると相手と駆け引きをしているわけですから、加減速を激しく繰り返して、単独で走っている時とは違うマシンの使い方になります。その中で何かが起きたんじゃないかと。今さらかと言われるかもしれないですが、今の我々はそれだけ経験不足だったわけです。そういう中で学んだことはあったし、バトルができるようになったのは収穫です」(新井総責任者)

 バトン車も41周目にスローダウンし、ピットに戻ってリタイア。こちらはターボのトラブルだった。バトン車にもアロンソ車と同じ仕様の2基目のコンポーネントが搭載されていたが、結局のところ2台ともトラブルを抱え込むことになってしまった。

 しかし、レース後のアロンソに悲観的な様子はなかった。むしろポジティブに前だけを見ているという表情をしていた。

「冬の間に走り込むことができなかったわけだから、この手の信頼性の問題は仕方がないと思うよ。本来テストの間に問題の箇所を見つけていくものだけど、僕らはそれをシーズン序盤の数戦で見つけていっている状態だ。でも、今週末はオーストラリアからここまでの間に進歩していることが確認できたし、この進歩の度合いを維持していければ、すぐにいいレースができるようになるはずだ」

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